高配当株投資で成功するためには、数ある銘柄の中からキラリと光る優良銘柄を見つけ出すことが重要です。
しかし、「どうやって銘柄を選べばいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで、当サイトでは、独自のスクリーニングシステムを活用して、効率的に高配当株を絞り込んでいます。
このスクリーニングで50点以上を獲得した銘柄は、さらに詳しく分析する価値があると判断し、個別に深掘り分析を実施しています。
この記事では、私が使用している高配当株銘柄スクリーニングの評価項目と評価基準を公開します。
ぜひ、銘柄選びの参考にしてください。
高配当株銘柄のスクリーニング評価項目と評価基準
ちくわストックが採用している高配当株銘柄のスクリーニング評価項目は以下の8つです。
- 売上高
- 営業利益率
- EPS
- 営業キャッシュフロー
- 現金等
- 自己資本比率
- 配当性向
- 一株配当
これらの項目を総合的に評価することで、企業の収益性、成長性、安定性、株主還元姿勢などを多角的に分析し、優良な高配当株を効率的に見つけることができます。
では、それぞれの評価項目について、具体的な評価基準と合わせて詳しく解説していきます!
評価項目①:
売上高
売上高は、企業がその年に売り上げた金額で、別名「トップライン」とも呼ばれます。
企業の成長性を示す最も基本的な指標であり、長期的な株価上昇や増配の原動力となるため、非常に重要です。
スクリーニングでは、売上高を以下の5つの項目で評価しています。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 10%以上の減少の有無 | 前年比で大幅な減少がないかを確認。 ない場合は2点、ある場合は0点 |
2 | 連続減少の有無 | 2年連続利益幅が悪化していないかをチェック。 2年以上連続で減少している場合は0点、そうでない場合は2点。 |
3 | 毎年増収 | 綺麗に売上高が伸びているか。 毎年増加しているなら3点、そうでない場合は0点。 |
4 | 増加回数 | 増加回数が多いほど高評価。 増加回数が8回以上なら3点、6回以上なら2点、5回なら1点、それ以外は0点。 |
5 | 成長率 | 売上高がどれくらい成長しているか。 2.6倍以上なら3点、1.6倍以上なら2点、1.2倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
基本的に、順調に伸びて行っているか、増加基調にあるかを確認しています。
また、10年間でどれくらい成長しているかをみることで、今後も成長してくれそうかを簡単に評価しています。
評価項目②:
営業利益率
営業利益率は、企業が本業でどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す重要な指標です。
売上高に対する営業利益の割合で表され、高いほど収益性が高いと評価できます。
営業利益率を評価するための項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 増加回数 | 増加回数が多いほど高評価。 増加回数が8回以上なら3点、6回以上なら2点、5回なら1点、それ以外は0点。 |
2 | 連続減少の有無 | 2年連続利益幅が悪化していないかをチェック。 2年以上連続で減少している場合は0点、そうでない場合は2点。 |
3 | 成長率 | 利益の改善がされているかをチェック。 1.5倍以上なら3点、1.25倍以上なら2点、1倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
4 | 平均 | 長期的な営業利益率の推移をチェック。 平均値が10%以上なら3点、8%以上なら2点、5%以上なら1点、それ以外は0点。 |
5 | ばらつき | 値動きが小さい方が安定していて良い。(標準偏差で算出) 1%以下なら3点、1%超~2%未満なら2点、2~3%なら1点、それ以外は0点。 |
6 | 最小値 | 下振れた場合の評価で、高いほど良い。 8%以上なら3点、5%以上なら2点、3%以上なら1点、それ以外は0点。 |
長期的に安定して高い営業利益率を維持している企業は、競争優位性を持っている可能性が高く、投資先として魅力的です。
一時的な要因で営業利益率が大きく変動することがあるため、値動きの大きさも確認して安定性も評価しています。
そのほか、営業利益率の指標の重要性と注意点については、以下で詳しくまとめていますので、あまり知らないという方はぜひそちらもご覧ください。
評価項目③:
EPS
EPS(一株当たり利益)は、企業の収益性を示す重要な指標であり、一株当たり純利益の額を表します。
この値が高いほど収益性が高いと評価され、高配当株投資では、EPSの伸びが将来の配当余力にも影響します。
スクリーニングでのEPSに関する評価項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 増加回数 | 増加回数が多いほど高評価。 増加回数が8回以上なら3点、6回以上なら2点、5回なら1点、それ以外は0点。 |
2 | 連続減少の有無 | 2年連続利益幅が悪化していないかをチェック。 2年以上連続で減少している場合は0点、そうでない場合は2点。 |
3 | 成長率 | 利益の改善がされているかをチェック。 2倍以上なら3点、1.5倍以上なら2点、1.2倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
4 | 直近の増加回数 | 直近5年間における利益改善傾向を確認。 4回以上で3点、3回以上で2点、2回以上で1点、それ以外は0点。 |
5 | 安定的な黒字 | 赤字の年がないかを確認。 ずっと黒字なら3点、そうでない場合は0点。 |
EPSの成長は一株あたり換算した稼ぐ力が増加していることを示し、これが成長している企業は、将来の増配も期待できます。
なので、中長期的に増加基調にあるのかを中心に確認しています。
また、基本的に赤字を出す企業には投資をしたくないため、マイナスになっている年がないかも確認しています。
そのほかEPSの重要性や注意すべきポイントなどについては、以下でまとめていますのでぜひご参考ください。
評価項目④:
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、企業が本業でどれだけの現金を稼ぎ出しているかを示す指標です。
この値が大きいほど、企業の資金繰りが健全であると評価できます。
黒字経営でもキャッシュフローのマイナスが続けば、資金繰りリスクが高まり倒産する可能性があるため、かなり重要な指標の1つです。
営業キャッシュフローの評価項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 安定的な黒字 | 赤字の年がないかを確認。 ずっと黒字なら3点、そうでない場合は0点。 |
2 | 成長率 | 利益の改善がされているかをチェック。 2.6倍以上なら3点、1.6倍以上なら2点、1.2倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
営業キャッシュフローはずっと黒字であることが大切だと考えています。
成長率に関してはそこまで気にしていませんが、一応チェックしています。
営業キャッシュフローについての詳しい解説は以下をご覧ください。
評価項目⑤:
現金等
現金及び現金同等物(現金等)は、企業の短期的な財務健全性を示す指標です。
企業が直面する可能性のある緊急事態や、新たな投資機会への対応能力を評価します。
配当を出すための資金でもあるため、高配当株投資の銘柄選びにおいては特に重要となります。
現金等の評価項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 増加回数 | 増加回数が多いほど高評価。 増加回数が8回以上なら3点、6回以上なら2点、5回なら1点、それ以外は0点。 |
2 | 10%以上の減少回数 | 大幅な減少がないかを確認。 減少回数0回で2点、1回で1点、それ以外は0点。 |
3 | 成長率 | 利益の改善がされているかをチェック。 2倍以上なら3点、1.5倍以上なら2点、1倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
現金等については、増加基調にあるのかを重要視しています。
大きな設備投資などを行なった場合に大きく減る場合があるため、10%以上の減少があることが必ずしも悪いことではありません。
ただし、頻繁に起きているようだと何かしら資金繰りに苦戦している可能性もあるので、個別に分析する際にしっかりと確認するようにします。
そのほか現金等の重要性や見落としがちなポイントについては以下でまとめています。
評価項目⑥:
自己資本比率
自己資本比率は、企業の財務安定性を示す指標です。
総資本に占める自己資本の割合を示し、この比率が高いほど、企業は負債に依存せず、安定した経営を行っていると評価できます。
また、この数値が高いほど倒産リスクも低いと考えられており、できるだけ安全性の高い企業選びには重要な指標となります。
自己資本比率の評価項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 増加回数 | 増加回数が多いほど高評価。 増加回数が8回以上なら3点、6回以上なら2点、5回なら1点、それ以外は0点。 |
2 | 連続減少の有無 | 2年連続利益幅が悪化していないかを確認。 2年以上連続で減少している場合は0点、そうでない場合は2点。 |
3 | 成長率 | 利益の改善がされているかをチェック。 2倍以上なら3点、1.5倍以上なら2点、1倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
4 | 平均 | 過去の水準を平均値で確認。 60%以上なら3点、40%以上なら2点、30%以上なら1点、それ以外は0点 |
5 | ばらつき | 値動きが小さい方が安定していて良い。(標準偏差で算出) 5%未満なら3点、5以上~10%未満なら2点、10〜15%なら1点、それ以外は0点。 |
6 | 最小値 | 下振れた場合の評価で、高いほど良い。 60%以上なら3点、40%以上なら2点、30%以上なら1点、それ以外は0点 |
自己資本比率については、高い数値であることと安定性を重視しています。
一般的には、自己資本比率が40%以上であれば優良企業とされています。
ただし、より安全性を高めるためにスクリーニングでは60%以上を最高点として設定しています。
また、安定性を測るために標準偏差を用いてばらつきを確認しているのも重要なポイントです。
自己資本比率についての詳しい解説は以下をご参考ください。
評価項目⑦:
配当性向
配当性向は、企業がその年に得た利益からどれだけを株主に配当として還元しているかを示す指標です。
この値が示すのは、企業の配当政策と株主への利益還元の積極性です。
ただし、単純に「高ければ高いほど良い」というわけではなく、注意が必要な指標となります。
配当性向の評価項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 平均 | 過去の水準を平均値で確認。 30%以上~50%以下なら3点、50%超~60%以下または20%超~30%未満なら2点、60%超~70%未満なら1点、それ以外は0点。 |
2 | ばらつき | 値動きが小さい方が安定していて良い。(標準偏差で算出) 5%未満なら3点、5以上~10%未満なら2点、10〜15%なら1点、それ以外は0点。 |
3 | 最大値 | 上振れた場合の評価。 30%超~60%未満なら2点、70%以下なら1点、それ以外は0点。 |
4 | 最小値 | 下振れた場合の評価。 30%超~60%未満なら2点、20%超なら1点、それ以外は0点。 |
配当性向が高い場合(70%以上)は、今後同額の配当金を維持できないリスクが考えられ、逆に低すぎる場合は株主還元に消極的な可能性が考えられます。
そういったことから、スクリーニングでは大体30~50%前後を理想値としています。
また安定性についても確認しているのが重要ポイントです。
配当性向を見る際のポイントなどは以下にまとめていますので、ぜひご参考ください。
評価項目⑧:
一株配当
一株配当は、企業が株主に対して支払う一株当たりの配当金です。
この指標は、配当金目当てで投資している高配当株投資家にとって一番重要な指標となります。
一株配当の評価項目と基準は以下の通りです。
No | 項目 | 評価基準 |
---|---|---|
1 | 最大下落率 | 減配がされた際の下げ幅を評価。低いほどよい。 0%で3点、10%未満なら2点、10%以上~20%以下なら1点、それ以外は0点。 |
2 | 毎年増配 | 毎年の増配がされているか。 毎年増配しているなら3点、そうでない場合は0点。 |
3 | 増配回数 | 多いほど高評価。 8回以上なら3点、6回以上なら2点、5回なら1点、それ以外は0点。 |
4 | 減配回数 | 少ないほど高評価。 減配回数が0回なら3点、1回なら1点、それ以外は0点。 |
5 | 平均増配率 | 高いほど高評価。 10%以上なら3点、5%以上なら2点、それ以外は1点。 |
6 | 成長率 | どれだけ増配されたか。 2.6倍以上なら3点、1.6倍以上なら2点、1.2倍以上なら1点、それ以外は0点。 |
7 | 不景気時の減配 | 過去リーマンショック時とコロナ禍での減配実績を評価。 減配がなければ3点、減配していれば0点。 |
一番重要になる指標のため、一番多くの項目で評価しています。
過去10年間で減配していないことが前提であり、あとは増配回数や成長率で還元姿勢を評価するようにしています。
あと、経済不況の際に減配していないかも確認し、今後の不況時の対応の予測として評価に組み込んでいます。
スクリーニングスコアの算出方法
上記の8つの評価指標の数値をそれぞれ算出して合計し、100点満点に換算してスクリーニングスコアを出すようにしています。
これらは全て手作業ではなく、自分でプログラムを組んで算出できるようにしています。
曲がりなりにも、プログラマーなので…笑
公開して欲しい要望があれば、公開します。
大したプログラムではなく、IR Bankから数値を抽出して、上記の評価基準に合った計算をしているだけですが。
プログラムを使えば一瞬で算出できるのでかなり便利です。
では、次にどういった感じで評価が出てくるのかについてお見せしようと思います。
高配当株スクリーニング評価の具体例
現時点の自分のポートフォリオの中で、一番スクリーニングスコアの高い「アルトナー(2163)」の評価をお見せします。
>> 【運用成績】2024年12月末のポートフォリオと予想配当金を大公開
アルトナーのスクリーニング結果は、こんな感じです↓
赤枠の部分が、総合評価になります!
79点とかなり高得点であることが、ここからわかります。
ただ、これだと直感的に各指標の良し悪しがわからないので、レーダーチャートも以下のように出力しています。
コーンフレークとかの栄養バランスチャートみたいですよね。
このようにチャートにしてみると、青の部分が非常に大きく全体的に評価が高いことが直感的にわかるかと思います。
ちなみに50点近辺だとこんな感じになります。
これは東洋アセチレン(4093)のスクリーニングスコアですが、売上高の評価がゼロではあるものの他の部分でカバーしてなんとか52点に届いた銘柄です。
先ほどのアルトナーとの違いは一目瞭然かと思います。
こんな感じで、個別に詳しく分析する銘柄をスクリーニングして行っています。
まとめ:高配当株スクリーニングで分析する銘柄を絞る
今回は、ちくわストック独自の高配当株スクリーニング術として、8つの評価項目と評価基準について詳しく解説しました。
これらの基準でスクリーニングすることで、高配当株の中でも特に優れた銘柄を効率的に見つけることができます。
以下に、高配当株スクリーニングの8つの評価項目をまとめてみました。
評価項目 | ポイント |
---|---|
売上高 | 企業の成長性の土台。安定した成長が重要。 |
営業利益率 | 本業の稼ぐ力を測る。長期的に安定して高いことが重要。 |
EPS | 配当金のベースでもあるので、増配のためにもしっかりした成長が重要 |
営業キャッシュフロー | 本業で現金を稼ぐ力。うまく稼げないと倒産につながるリスクあり |
現金等 | 緊急時への対応力と投資余力。配当の原資。 |
自己資本比率 | 財務の安定性をチェック。高く安定していることが重要 |
配当性向 | 株主還元への積極性を探る。高すぎても低すぎても良くない。 |
一株配当 | 高配当株投資の最重要指標!連続増配年数、減配の有無、増配率に注目。 |
ただし、スクリーニングはあくまでも銘柄選びの第一段階です。
これらの基準で高評価を得た銘柄については、さらに個別に詳細な分析を行い、投資判断を下すことが重要です。
今後、ちくわストックでは、このスクリーニングで高評価となった銘柄の個別分析記事をどんどん公開していく予定です。
この評価項目についてのご意見やご質問、他の評価基準に関するアイデアなどがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。
皆さんからのフィードバックをもとに、このスクリーニング術をさらに進化させていきたいと思います。
一緒に、高配当株投資で、夢の配当金生活を実現しましょう!
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