「営業利益率って、なんとなく難しそう…」
「会社の決算書でよく見るけど、結局何を表しているの?」
「株を買うときに、営業利益率ってどう関係あるの?」
そう思っていませんか?
本記事では、営業利益率の基本について、どこよりもわかりやすく解説していきます!
営業利益率は、会社の稼ぐ力を測るための大切な指標。
この記事を読めば、営業利益率の意味はもちろん、株式投資でどう活かせるかまでバッチリ理解できます。
- 営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示す指標
- 企業の効率性や将来性を判断する材料の1つとなる
- 一般的に10%以上が優秀とされるが、業界によってまちまち
- 高配当株選びの1条件になるぐらい重要な指標である
営業利益率とは

営業利益率とは、会社が本業でどれだけ効率的に稼いでいるかを示す指標です。
売上高に対する営業利益の割合で計算され、パーセント(%)で表されます。

売上高をもとに算出するため、売上高営業利益率と呼ばれることもあります。
営業利益とは、売上高から、売上原価(商品の仕入れや製造にかかる費用)と、販売費及び一般管理費(人件費、広告宣伝費、家賃など)を差し引いた利益のことを指します。
つまり、営業利益率は、会社が本業で稼いだ利益が、売上高に対してどれくらいの割合を占めているかを示しているんですね。

営業利益率は、会社の「本業の儲けっぷり」を表す成績表みたいなものですね!
営業利益率の計算方法
営業利益率の計算式は、とってもシンプルで以下の式で算出します。
営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
たとえば、以下の会社の業績の場合の営業利益率を計算してみます。
A社 | B社 | |
---|---|---|
売上高 | 100億円 | 50億円 |
営業利益 | 5億円 | 5億円 |
この場合、A社の営業利益率は5%(5億÷100億×100)ととなり、B社の営業利益率は10%(5億÷50億×100)となります。
B社の方が売上高が低く、あまり稼げていないとぱっと見は思ってしまうかもしれませんが、売上に対する利益率では、A社の倍あります。
営業利益率の目安は?優良企業の基準
営業利益率は、一般的には10%以上ある場合は優良であると判断されます。
営業利益率10%とは、1,000円売り上げた場合は、100円が利益として残るぐらいです。
逆にいうと、900円ほどの費用をかけて、100円を生み出しているとも言えます。
なんか低い感じがしますが、企業の営業利益を見る場合は、これでもかなり良い方なのです。
営業利益率と他の利益率の違い

会社の利益には、営業利益の他にも以下の2つが主にあります。
- 経常利益
- 純利益
それぞれの利益と営業利益との違いを理解しておきましょう。
経常利益率と営業利益率の違い
経常利益率は、会社全体の収益性を示す指標です。
具体的には、経常利益は、営業利益に本業以外の収益(受取利息や配当金など)を加え、本業以外の費用(支払利息など)を差し引いた利益であり、これを売上高で割ってパーセンテージにした数値が経常利益率です。
営業利益率が「本業の儲けっぷり」を表すのに対し、経常利益率は、本業以外の活動も含めた会社全体の儲けっぷりを表します。
純利益率と営業利益率の違い
純利益率は、最終的な利益が売上高に占める割合を示す指標です。
純利益は、経常利益に特別損益(固定資産の売却益や災害による損失など)を加え、税金を差し引いた最終的な利益で、これを売上高で割ってパーセンテージに直した数値が純利益率です。
営業利益率や経常利益率が、会社の事業活動の効率性や収益性を示すのに対し、純利益率は、税金や特別損益まで含めた、最終的に会社に残る利益の割合を示します。

営業利益率は、会社の事業活動の成績表、経常利益率は、会社全体の成績表、純利益率は、最終的な成績表って感じですかね。
営業利益率で何がわかる?企業分析の重要ポイント

この指標を見れば、その会社が
- どれくらい本業で稼げているのか
- 付加価値を生み出しているのか
がわかります。
それによって、その企業の稼ぐ力や成長性(将来性)を判断する材料となります。
①どれくらい稼げているのか
会社は利益をあげてなんぼです。
いくら売上高が高くても、利益を出せていなければ意味がありません。
先ほどの例をもう一度見てみます。
A社 | B社 | |
---|---|---|
売上高 | 100億円 | 50億円 |
営業利益 | 5億円 | 5億円 |
営業利益率 | 5% | 10% |
この場合、売上高のみを比べるとA社はB社の2倍稼いでいて、よく稼いでいると見えてしまいます。
しかし実際に稼ぎ出している利益は、ともに5億円であり同じです。つまり、A社は5億円稼ぐのに95億円の費用を使い、B社は45億円のみ費用がかかっています。
これにより、B社の方がより効率的に稼げていることがわかります。
②付加価値を生み出しているのか
うまく稼げているのかの他に、営業利益率を見ればその会社がどれだけの付加価値を生み出しているのかも推し量る材料となります。
付加価値とは商品やサービスの本来の価値に加えて、新たな独自価値を追加することを意味します。
一般的には、この付加価値が高いものほど、高く売れます。
Apple製品がわかりやすい例でしょう。Appleの製品は品質が高いことはもちらんですが、Appleというブランドやデバイス間の親和性などかなりの付加価値があります。それによって、他社よりも何割か高い価格でありながら、多くの人か購入し利用しています。

ちなみにAppleの営業利益率は31.5%と、超絶な数値です。(参考)
このように付加価値が高い製品やサービスを提供していれば、原価や費用により多くの上乗せ(利益)をして販売することができます。
したがって、営業利益率が高くなり、そういった企業は将来的にも安定して稼いでいけると考えられます。
営業利益率の落とし穴?注意点と業界別の比較

営業利益率を見る際の注意点としては、10%以上あればOKという絶対的な基準はないということです。
10%以上の営業利益率があれば一般的には優秀とされますが、これはあくまでも目安です。
業種によって営業利益率は様々なので、その業界や同業他社と比較し、高いか低いかを検討する必要があります。
たとえば、飲食業などは利益率が低い傾向にあり、証券や金融業は利益率が高くなる傾向にあります。
業界別の営業利益率
経済産業省によって33,697社を対象とした、各業種別の利益率平均(2022年度)は以下のとおりです。
業種 | 営業利益率 |
---|---|
鉱業、採石業、砂利採取業 | 28% |
製造業 | 9.8% |
電気・ガス業 | -0.33% |
情報通信業 | 8.7% |
卸売業 | 5.8% |
小売業 | 2.8% |
クレジットカード業、割賦金融業 | 11.4% |
物品賃貸業 | 5.8% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 4.7% |
飲食サービス業 | 1.5% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 6.5% |
個人教授所 | 3.1% |
サービス業 | 7.7% |
サービス業(その他のサービス業) | 12.4% |
その他の産業 | 7.3% |
これを見ると、「鉱業、採石業、砂利採取業」や「クレジットカード業、割賦金融業」、「サービス業(その他のサービス業)」が10%を超える高い利益率を誇っているみたいですね。
一方で、小売や飲食については、セオリー通り低い営業利益率となっているようです。
高配当株投資の銘柄選びに営業利益率が役立つ理由

営業利益率は、高配当株投資の銘柄選びにも役立つ重要な指標です。
営業利益率が高い企業は効率的に稼げている証であり、配当金の源泉となる利益をしっかりと稼いでくれます。
そういった企業であれば、安定して高い配当金がもらえる可能性が高まり、投資判断もしやすくなります。
見る際のポイントとしては、以下が挙げられます。
- 成長性:営業利益率が年々上昇している企業は、成長性が期待できる
- 収益性:同業他社と比較して営業利益率が高い企業は、収益性が高い
- 安定性:営業利益率が安定している企業は、不況時でも業績が落ち込みにくい
銘柄選びの際の営業利益率の目安
高配当株投資の銘柄を選ぶ際は、営業利益率に一定のボーダーを設けている方も多いです。

こびと株.comさんでは、10%が条件として挙げられていました。
自分も大体その辺りを目安にしていますが、できるだけ同業他社と比較し高くなっていることは確認するようにしています。

まとめ:営業利益率で会社の稼ぐ力がわかる
営業利益率は、会社の「本業の儲けっぷり」を表す重要な指標です。
- 計算式は、営業利益 ÷ 売上高 × 100
- 業種によって目安は異なるが、同業他社と比較することが重要
- 高配当株投資の銘柄選びの際は一定の基準(10%以上)を設ける人も多い
この記事を参考に、営業利益率を理解し、株式投資に活かしてくださいね!
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