
ROAってよく聞くけどイマイチわからない…
そんなお悩みを解決します。
投資に興味を持ち始めたばかりの方にとっては、「ROA」や「ROE」という言葉を聞くものの、実際どんな意味があってどう活用すればいいのか、イメージしにくいですよね。
そこで本記事では、「ROA(総資産利益率)」の定義から、どのように計算して投資判断に活用できるのかをわかりやすく解説します。
企業の「資産の使い方が上手かどうか」を測るのに役立つ指標なので、マスターすれば投資判断の精度がグッと上がるはず。
最新の業種別の平均値もご紹介しますので、最後までご覧いただき、投資先の分析にお役立てください。
- ROAは、企業の全資産を使って生み出した利益を図る指標
- 一般的に5%が優良とされる目安だが、業界によって大きく異なる
- ROEやROICなど似たような指標との主な違いは対象の資本
ROA (総資産利益率)とは?経営効率を測る重要な指標

ROAは、「Return On Assets(リターン・オン・アセッツ)」の略で、日本語では「総資産利益率」といいます。
企業の持っているすべての資産(総資産)を使って、どれだけの利益を生み出したかを示す指標です。
投資家にとって、限られた資産を使って大きな利益を上げられる企業は魅力的ですよね。
ROAをチェックすれば、その企業が「資産をどれだけ上手に回しているか」を客観的に把握できます。

ROAを知っていると、資産の“使い方”が上手な企業を見抜く助けになります!
ちなみに「アール・オー・エー」と読みます。
ROAの計算方法と目安

ROAの計算方法はとてもシンプルで、以下の計算式で求められます。
ROA (%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
一般的に、ROAが5%以上あれば「優良企業」といわれることが多いです。
ただし、業種や企業規模、成長段階などによって必要な設備投資の大きさは違うため、一律で何%なら絶対に良いとはいえません。

目安として5%を意識しつつ、業界平均や同業他社との比較が重要になります。
2024年の経済産業省の調査によると、以下のような数値が出ているので、ぜひ目安として参考にしてみてください。
【業種別】ROAの平均値(2023年度)
業種 | ROA (総資産利益率) |
---|---|
全体 | 4.918% |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 7.851% |
製造業 | 5.525% |
電気・ガス業 | 2.443% |
情報通信業 | 7.029% |
卸売業 | 6.077% |
小売業 | 4.461% |
クレジットカード業、割賦金融業 | 0.783% |
物品賃貸業 | 1.447% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 6.455% |
飲食サービス業 | 4.399% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 3.337% |
個人教授所 | 2.747% |
サービス業(その他のサービス業を除く) | 3.789% |
サービス業(その他のサービス業) | 5.287% |
その他の産業 | 4.270% |
ご覧のように、業種によってかなりのばらつきがあります。
低いものは1%未満ですが、高いものは8%弱もあります。

基本的に大きな設備投資が必要な業種は、ROAが低い傾向にあるみたいです。
ROAが高い/低いと何がわかる?

ROAが高い企業と低い企業、それぞれどんな特徴があるのでしょうか?
それぞれの特徴についてみていきましょう。
ROAが高い企業の特徴
ROAが高い企業は、少ない資産で大きな利益を上げていることを意味します。
つまり、経営効率が非常に良いということです。
例えば、同じ100万円の売上を上げるラーメン店でも、屋台のような小さな店舗と大きなチェーン店とでは、前者の方がうまく効率的に稼げていることはイメージできるかと思います。

ROAが高い企業は、無駄を省いて、お金を上手に使っているってことですね!
ROAが低い企業の特徴
ROAが低い企業は、資産を有効活用できていない可能性があります。
たくさんの資産を持っているのに、それに見合う利益を上げられていない状態です。
ただし、ROAが低いからといって、必ずしも悪い企業とは限りません。
例えば、将来のために大規模な投資をしたばかりの企業は、一時的にROAが低くなることがあります。

ROAが低いとうまく資本を稼げていない可能性があるものの、ROAだけではなく、企業の状況を総合的に見ることが大切になります!
ROAとよく比較される指標:ROEやROICとの違い

ROAとよく似た指標に、ROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)があります。
ここでは、これらの指標との違いについて解説していきます。
ROE(自己資本利益率)とは?ROAと違う点
ROE (%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROEは、「Return on Equity(リターン・オン・イクイティ)」の略で、自己資本に対してどれだけの利益を上げたかを示す指標です。
自己資本とは、総資産から負債を引いた残り(純資産)のことで、ROEはROAと同様に資産を活用した収益性を示す指標と言えます。
ROAとの違いは、分母が総資産ではなく「自己資本」であることです。
ROEは、企業の財務レバレッジ(借金の活用度合い)によって大きく変動するため、借入を多くするなどで誤魔化しや良い数字に見えたりします。

一方、ROAは負債も含めた資産全体が分母となるため、そういったごまかしは聞きづらいとされます。

ROIC(投下資本利益率)とは?ROAと違う点
ROIC (%) = 税引後営業利益 ÷ 投下資本 × 100
ROICは、「Return on Invested Capital(リターン・オン・インベステド・キャピタル)」の略で、企業が事業に投じた投下資本に対してどれだけの利益を上げたかを示す指標です。
投下資本とは、株主資本と有利子負債(借金)の合計です。
ROAとの違いは、分子が当期純利益ではなく税引後営業利益であること、分母が総資産ではなく投下資本であることです。

ROICは、ROAよりも事業の実態を反映した収益性指標と言われています。
3つの指標の違い早見表
以上、ROAとROE、ROICの違いをまとめてみました。
指標 | 何を表すか | 計算式の分母 |
---|---|---|
ROA | 総資産に対する利益率 | 総資産 |
ROE | 自己資本に対する利益率 | 自己資本 |
ROIC | 事業に投じた資本に対する利益率 | 投下資本 |

どれも利益を見る指標ではあるものの、対象とする資本が異なります。
ROAを株式投資に取り入れるヒント

最後に、ROAを実際の投資判断に活用する際のポイントを解説します。
ROAは過去のデータ
ROAは過去の決算情報に基づいて計算されます。
したがって、現在のROAが高いからといって、将来も高いとは限りません。
業界平均との比較が重要
ROAを評価する際は、必ず同業他社の平均値と比較しましょう。
上述した業界平均や競合他社を大きく上回っている企業は、競争優位性を持っている可能性があります。

また過去の水準もみてどう変化しているのかもチェックすると、より正確にROAを判定できます。
他の指標と組み合わせて総合的に判断
ROAはあくまで企業の収益性を見るための指標の1つに過ぎません。
PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)など、他の指標と組み合わせて総合的に判断しましょう。

収益面だけではなく、自己資本比率や現金等など財務面も確認するとより詳細な企業分析に繋がります!


スクリーニングで銘柄探しの効率アップ
証券会社のウェブサイトや投資情報サイトには、ROAなどの条件で銘柄を絞り込めるスクリーニングツールがあります。
これらを活用し、絞り込みの条件にROA○%などと設定すれば、効率的に優良企業を見つけられます。
収益性が極端に低いような企業を除外したい場合などに、活用できます。

ROAで対象を大雑把に絞り込んで、その後に各企業の詳細を分析していくイメージです。
まとめ:ROAを理解して、企業分析の精度を高めよう!
ROAは、企業の総資産を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示す重要な指標です。
ROAを理解し、うまく活用することでより正確に企業分析が行えます。
この記事が、少しでも参考になれば嬉しいです。
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