株式投資で配当を重視する方にとって、DOE(株主資本配当率)は見逃せない指標です。
今回は、DOEについて押さえておきたいポイントを解説していきます。
- DOEとは株主資本に対する配当金の割合を示す指標
- 高いほど株主還元姿勢が高いことを表す
- 配当性向よりも安定しており、取り入れる企業が増えてきている
- 高配当銘柄選びの際には、DOEを採用している企業を選びたい
DOEとは

DOEとは、「Dividend On Equity Ratio」の略で、日本語では「株主資本配当率」と言います。
企業が支払う配当金が株主資本に対してどれくらいの割合になるのかを示す指標です。

この指標により企業の株主還元姿勢がわかります。
DOEの算出方法
DOEは以下の式で求められます。
DOE(%)= 配当金総額 ÷ 株主資本 × 100
例えば、株主資本1000万円で、配当金総額が10万円の企業があった場合、この企業のDOEは1%(10÷1000×100)となります。
また、以下の式でもDOEを求められます。
DOEが重要な理由

DOEが重要な理由は、この数値によって企業の配当姿勢がわかることが挙げられます。
また、配当性向よりも安定している傾向があり、企業や株主にとって配当金の予想が立てやすいことも重要なポイントです。
DOEの目安
DOEは高いほど企業の株主還元姿勢が高いと言えます。
ザイマニによると2023年での全業種の平均値としては2.9%、中央値は2.2%となっています。
なので、この辺りを一つの目安とすると良いかと思います。

企業のDOEを判定する際は、その業種などとも比べるのも良いでしょう。
DOEは配当性向よりも安定している
一般的に配当還元の比率を示すのは配当性向になりますが、これはその期の純利益に基づいて計算され、変動しやすい性質があります。
これは、企業の利益額は経済状況や一時的な要因で変動しやすいためです。(新型コロナなど)
一方、DOEは企業の株主資本をベースに算出するため、企業の財務が安定していれば安定します。
基本的に企業がちゃんと稼いでいれば、株主資本は増加していきます。仮に、思ったように利益を上げられなかったとしても、株主資本が半分になったりすることはほぼありません。
(例)DOEと配当性向による配当金の違い
以下では、配当性向30%とDOE3%での配当金の額をシミュレーションしてみます。(発行済み株式数100万株)
1期目 | 2期目 | 3期目 | |
---|---|---|---|
EPS | 100円 | 50円 | 200円 |
株主資本 | 10億円 | 9.7億円 | 9.4億円 |
配当性向に基づく1株配当金 | 30円 | 15円 | 60円 |
DOEに基づく1株配当金 | 30円 | 29.1円 | 28.2円 |
上記を見ればわかるかと思いますが、配当性向に基づいた配当金の場合、その元となるEPS(一株あたり純利益)によってかなり変動しています。一方で、DOEの場合はおおよそ30円ほどで安定していることがわかります。
従って、DOEは配当性向よりも安定しており、そのことから近年は株主還元姿勢を示す指標として採用する企業が増えてきています。
DOEを見る際の注意点

DOEを見る際に注意しておきたいポイントは、特にありませんが高すぎるDOEは注意しておいた方が良いでしょう。
DOEが高いのは、その分株主還元姿勢が強いことを示しますが、高い分しっかり稼いでいないと株主資本が急速に減ることになります。
つまり、彼氏(彼女)に貢ぐ姿勢は十分だけど、収入が少なく貯金を切り崩している状態になりかねません。
なので、財務(特に株主資本)は安定し増えているのか、DOEが高すぎないかといった点を意識しておくと良いかも知れません。
高配当株投資におけるDOEの重要性

高配当株の銘柄選びの際にDOEは非常に重要になります。
その理由は先ほどの「DOEが重要な理由」でもお伝えしたように、安定した配当金につながるためです。
高配当株投資をする上で最も恐ろしいことは、減配や無配転落することです。
そうならないために企業には頑張って利益を上げてもらわないといけないのですが、経済状況や不可抗力によって利益が減ってしまうこともあります。
そういった状況でも、財務が安定していれば配当が維持されるため、配当水準の目安としてDOEを採用している企業は投資家にとって安心感があります。
配当性向も悪くはないのですが、できればDOEを配当政策の指標として採用している企業を選んでいきたいものです。
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