高配当銘柄選びの際に重要になる指標の一つ『現金等』。
現金などのキャッシュの量を見るのはだいたいわかるかと思いますが、「等」の部分には実際どんな項目が含まれているのかご存知ない方も多いでしょう。
今回は、この現金等について重要なポイントをまとめていきます。
- 現金等は「現金及び現金同等物」で、現金と流動性の高い資産を示す
- 短期的な資金繰りを示し、高いほど不景気などのリスク対応力が高い
- しかし高すぎる場合は、うまく資金を活用できていない証でもある
- 高配当株投資では、業績低下時でも配当維持・増配のために必要なので重要
現金等とは
現金等とは、正しくは「現金及び現金同等物」のことを指します。
つまり、現金「等」の部分には短期間で換金できる流動性の高い「現金と同様の資産」が含まれているのです。
現金同等物とは
現金等に含まれる「現金同等物」とは具体的には、以下のものを含みます。
- 定期預金(償還日まで3ヶ月以内のもの)
- 譲渡性預金(定期預金の一種)
- 短期国債
- コマーシャルペーパー※
上記の中に株式や債券が入っていないと疑問に思った方もいるかもしれません。
その理由は、現金同等物として含めるために、短期間(一般的には3ヶ月以内)に現金化でき、価値がほとんど変動しないという条件があるためです。
なので、通常これらは現金同等物には含まれません。
※コマーシャルペーパーとは、企業が短期資金調達を目的としてはこうする無担保約束手形のことです。
詳しくは、こちらをご参考ください。
現金等が重要になる理由
現金等が重要になる理由は、この指標が企業の短期的な資金繰りを示すことが挙げられます。
キャッシュが豊富にあれば、一時的に売上が減少したとしても支払いを滞りなく行え、事業の継続ができます。
一方で、キャッシュが少ない場合は、売上低下やちょっとした不景気などによって支払いが困難になり、倒産のリスクが高まります。
したがって、現金等はその企業が不景気や業績悪化に耐えうる力があるのかを判断する材料になり、健全性や安全性の見定めとして非常に重要になるのです。
現金等を見る際の注意点
現金等は高いほど、不景気や業績悪化を乗り越える力があることを示しますが、その一方で不必要な現金等は資金をうまく活用できていない証でもあります。
現金や現金同等物を溜め込むばかりで、成長投資や事業拡大に使わずにいる企業は、売上の成長なども見込みづらいでしょう。
かといって、現金等を過剰に使うと、先ほど言ったリスク対応力が低くなるため、問題となります。
どれくらいあれば安全なのかは企業によって異なりますが、同業他社や業界などと比較するとある程度の目安は見えてくるかもしれません。
高配当株投資にとっての現金等の重要性
先ほど現金等は不景気や業績悪化を乗り越えるために重要であるとお伝えしましたが、高配当株投資にとっても現金等は非常に重要な指標となります。
というのも、不景気や業績悪化に伴い利益が減った際に、これまで通りの配当を出すには企業が保持する資産(主に現金等)から捻出する必要があります。
したがって、業績悪化や不景気などのネガティブな状況でも耐えうるためだけではなく、我ら投資家にしっかりと配当金を出して還元を続けるためにも、この現金等は非常に重要になります。
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