投資は儲けてなんぼ!
利益の最大化が絶対目標や!
こう思われている方も多いのではないでしょうか?
実は私も利益ばかりを追い求め、痛い損失を出した経験があります。
しかし、その考えが誤りであることに、ある書籍に気付かされました。
ということで今回は、マーク・ティアー著『バフェットとソロス 勝利の投資学—-最強の投資家に共通する23の習慣』(以下、『バフェットとソロス』)で語られている投資の心得「元本の確保こそが常に最重要事項」についてご紹介したいと思います。
『バフェットとソロス』では、この他にも私たちが陥りがちな投資の落とし穴や、一流投資家に共通する思考法などが、豊富な事例とともに解説されています。投資初心者から玄人まで、投資で重要なメンタル面での新たな発見が得られる一冊です。ぜひ、書籍も併せてご覧ください。
投資は「利益の最大化より損失回避を優先」するべし
冒頭でお話ししたように、投資では利益の最大化、つまりどれだけ稼げるかが注視されがちです。
SNSやネットでも「1撃○○○万円!」や「1年で資産を倍にする方法」などの儲け発信もよく目にします。
しかし、投資においては「元本の確保こそが常に最重要事項」なのです。
みなさんもご存知のウォーレン・バフェット氏の名言(投資のルール)の1つにこんなものがあります。
投資のルール①:決して金を失うな(損をするな)
投資のルール②:ルール①を絶対に忘れるな
見ての通り、伝説の投資家の投資ルールに「利益の最大化を目指せ」なんてことは書かれていないわけです。
つまり、投資は利益の最大化を図るのではなく、損失を最大限避けることが最重要事項と言えるのです。
投資において損失を避けることが最重要である理由
損失回避が最重要項目である理由は、書籍で色々と紹介されていますが、ここでは私が目から鱗だった内容をお伝えします。
その理由とは、「損をした場合は、それを取り戻すためにより多く稼ぐ必要がある」ことです。
例えば、元本100万円で投資をしていて、20万円の損失(20%)が出たとします。
この時、元本は80万円になり、失った20万円を取り戻すには、25%の利益を出さないといけません。
これ、意外と盲点じゃないですか?
だって、失ったのは20%なのに、それを回復するには25%必要になるのです。5%多いのです。
冷静に考えれば元本が減っているので当たり前ですが、この点を意識されている方は意外と少ないのではないでしょうか?
特にサラリーマンなど投資が本業でない方は、毎月の収入や貯蓄から補填できるため、気にしない方も多いかもしれません。
私はその類でした。。。
しかし、損失は損失。
自分が自由に使えたはずのお金が減ったことは事実で、それを元に戻すには投資でより多く稼ぐか好きなことを我慢して補填する必要があるのです。
損失とその回復に必要なパーセンテージ一覧
ここで、どれくらい損失が出た時にどれくらいのリターンが必要なのかをざっくりまとめておきたいと思います。
基本的には、損失が大きくなるほど、回復に必要な儲けも大きくなります。
以下の表に、10%単位でまとめてみました。
損失 | 必要な利益 |
---|---|
10% | 11.1% |
20% | 25% |
30% | 42.86% |
40% | 66.67% |
50% | 100% |
60% | 150% |
70% | 233% |
80% | 400% |
90% | 900% |
100% | 回復不可 |
上記の表は、例えば30%の元本を失った場合には、残った元本で42.86%の利益を出さないといけないということです。
50%失った場合は、元本を倍(100%)にしないといけません。
もし元本が100万円なら、50万円失って残りの50万円で再度50万円を稼ぎ出す必要があるのです。
それ以上の損失は気が遠くなるような利益を出さないといけません。
この表を肝に銘じておくと、損失回避の重要性を忘れずに済むかと思います。
>> 書籍 バフェットとソロス勝利の投資学――最強の投資家に共通する23の習慣
「損失回避が最重要項目だったら投資できない!」に対する反論
ここまでで、投資をする上で損失を回避することを最重要課題とする大切さはおわかりいただけたかと思います。
ここで、
損失がダメなら投資できんやん!
なんてことを思うかもしれませんが、それは間違いです。
その理由は、これは以下の誤った前提や考えに基づいているためです。
- 元本を守るには、投資しない(リスクを取らない)のが最適である
- 儲けるチャンスの裏には、同じぐらい損失のリスクがある
(例:1ドル稼ぐチャンスには、1ドル損失する可能性がある)
「損失回避が最重要事項である」ということは、損失リスクをゼロにしろというわけではありません。
利益ばかりを追い求めて、必要のないリスクをとっていないか?を確認することが大切なのです。
つまり、リスクとリターンの最適化が重要になります。
また、儲けと損失は表裏一体と考えるかもしれませんが、投資においてはそうとも限りません。
特に株式投資の中には、損失の可能性が低い一方で大きく儲けられる可能性があるものもあります。
いわゆるバリュー株投資や優良な高配当株への長期投資などが、これに該当します。
もちろん全てがローリスク・ハイリターンであるというわけではありませんが、そういった投資先を丁寧に選んでいくのが銘柄選びです。
損失を回避することを優先した銘柄選び
元手100万円で以下の2パターンの投資先候補があった場合で考えてみます。
- 投資先A
100万円儲ける可能性があるが、100万円失う可能性があり、確率は半々。 - 投資先B
30万円儲ける可能性があるが、10万円失う可能性があり、利益可能性は90%。
この場合、もちろん選ぶのはBになります。
儲け額の大きさで比べるとAが3倍以上で圧倒的ですが、損失額や可能性を見るとBがかなりリスクが低いです。
これは少し極端な例ではありますが、このように、投資の銘柄選びの際は利益幅を追求するのではなく、できるだけ損失の可能性や額を下げるようにして選んでいくのが最重要になるのです。
損失リスクを見積もる方法
「損失リスクをできるだけ抑えて、元本を守ることに徹する」のが大事なのはわかったけど、実際にどうすれば良いの?と思うかもしれません。
これは非常に難しい問題で、結論としては投資の経験を積み、知識を深め、自分なりの投資基準を築いていくことが不可欠です。
私のように始めて1年未満の初心者には、損失リスクの把握は極めて難しいです。
しかし、だからといって勘で銘柄選びをしていては、知識も経験も積まれません。
せめて、その投資をした理由を説明できるようにしておくべきだと思います。(それが間違っていたとしても)
また、他に成功している方が取り入れている基準なども参考にしていくのも良いかと思います。
例えば、こびと株.comさんで紹介されているような銘柄の条件などは特に参考になると思います。
>> これが正解?『こびと株の10条件』について考えてみる
それらを用いながら、自分なりの基準で選んでいき、知識と経験を積んでいくことで、損失リスクを見積もれるようになれるはずです。
投資の達人の損失リスクの見積り方
では、投資の達人たちは、一体どのようにして損失リスクを見積もり、大きなリターンを上げているのでしょうか?
書籍『バフェットとソロス』では、彼らに共通する思考法が以下のように紹介されています。
投資の達人はリスクを避け、同時に平均以上のリターンをあげることができる。しかし、そもそも達人はどうやってそんな無意識的能力を獲得したのだろう?リスクは計測可能だと気づき、何を測ればよいかを学んだことで獲得できたのである。 投資の達人は確実か不確実かでものを考え、確実なことに集中する。だから、本当はまったく「リスクを測」ってはいないのだ。継続的な調査を行なって達人が測っているのは利益が得られる確率であり、ウォーレン・バフェット言うところの「確率の高い出来事」だ。
(『バフェットとソロス』p.67より)
※「無意識的能力」とはわかっていることとわかっていないことをわかっている状態です
つまり、彼らは何を測れば良いのかを経験から学び、そしてリスクを見積もるのではなく高い確率で利益を得られることにフォーカスしています。
極端な話、99%儲けられる投資先があれば、必然と損失リスクは抑えられ、結果として損失を回避することにつながります。
彼らのような投資の達人は、このように「結果として損失を回避している」ようです。
ただし、根本として損失を回避することが最重要事項であることは変わりません。
まとめ:投資では利益の最大化ではなく損失の最小化を絶対目標とせよ
今回は、『バフェットとソロス』から学んだ、投資で最も重要な『元本を守る』という考え方について解説しました。
利益を追い求める前に、まずは損失を最小限に抑えることを最優先に考えましょう。
この点はつい忘れがちですが、これの大切さはここまでの解説でお分かりいただけたかと思います。
自分もこれからはどれだけ損失リスクがあるのかもしっかりと考慮した銘柄選びをしていきたいと思います。
まずは、自身の投資ポートフォリオを見直し、損失リスクの高い銘柄がないか確認してみるのも良いかもしれませんね。
ぜひ、オリジナルの書籍『バフェットとソロス勝利の投資学――最強の投資家に共通する23の習慣』で紹介されている他の22の習慣についても学んでみてください。
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