増配維持でひと安心!積水ハウス(1928)2026年1月期Q3決算内容まとめ

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増配維持でひと安心!積水ハウス(1928)2026年1月期Q3決算内容まとめ

戸建住宅・賃貸住宅・リフォーム・不動産事業を展開する住宅メーカー大手の積水ハウス株式会社。

2026年1月期第3四半期決算(2025年2月〜10月)が2025年12月4日に発表されましたので、今回はその内容を見ていきます。

記事のポイント

売上高は過去最高を更新も、米国事業の低迷で減益着地。通期計画は据え置きも、進捗率62.3%と例年を下回るペース。配当は増配予定を維持し、高配当投資家にとっては安心材料。

特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

この記事の目次

決算ハイライト

主要業績は以下の通りです。

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項目今期実績(9ヵ月)前年同期前年比通期計画
売上高2兆9,357億円2兆8,641億円+2.5%4兆3,310億円
営業利益2,108億円2,323億円△9.3%3,400億円
経常利益1,999億円2,126億円△6.0%3,210億円
純利益1,470億円1,648億円△10.8%2,320億円
EPS226.89円254.36円△10.8%
出典:積水ハウス株式会社 2026年1月期第3四半期決算短信

売上高は2.5%の増となっているものの、利益面では前年比でかなり落ち込んでいます。

業績の進捗状況

第3四半期時点での進捗率は以下の通りです。

項目進捗率5年平均進捗率評価
売上高67.8%遅れ
営業利益62.0%要注意
経常利益62.3%72.7%要注意
純利益63.4%要注意

経常利益の進捗率62.3%は、過去5年平均の72.7%を約10ポイント下回っており、通期計画達成に向けてハードルが高まっています。

ちくわくん

Q3時点で75%が目安とされる中、62%台は確かに物足りないですね。ただ住宅業界は年度末(1月期なら10〜1月)に引き渡しが集中する傾向があるので、Q4で大きく積み上がる可能性はあります。とはいえ、例年ペースを下回っている点は注視が必要です。

セグメント別の状況

セグメント別の業績動向は以下の通りです。

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セグメント売上高前年同期比営業利益前年同期比主な状況
戸建住宅346,9591.1%増31,0757.9%増「life knit design」の活用や提案力向上、生産体制強化の取り組みにより受注は堅調に推移。
賃貸・事業用建物405,7133.2%増59,9126.9%増S・Aエリア中心の事業展開、ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及注力などが奏功し、受注は好調。
建築・土木223,4374.9%減17,66657.4%増大型工事の順調な進捗や追加変更工事の獲得により採算性が向上。特に建築事業では資材価格高騰等の受注価格への転嫁が進み、大型官庁工事の採算が改善。
賃貸住宅管理536,0324.4%増55,32332.7%増「シャーメゾン」の継続的な受注に加え、賃貸事業専門のグループ会社営業開始による体制整備が進み、管理受託戸数が増加。戦略的なリーシング活動により高水準な稼働率を維持
リフォーム131,5310.1%増16,24610.1%減受注は好調に推移したものの、営業利益は減少。グループ連携を強化し、「いどころ暖熱」などの環境型リフォームや大型リノベーション提案を強化。
仲介・不動産277,2518.4%増23,0554.1%減グループ会社の統合により体制整備が進み、住宅用地を中心とした販売用不動産の売却が順調に進捗。
マンション83,74034.7%増11,71547.3%増大型物件(「グランドメゾン武蔵小杉の杜」など)の引渡しが計画通りに進捗。全住戸ZEH仕様化や長期優良住宅の認定実績が積み上がり、「グランドメゾン」の販売が好調に推移
都市再開発37,65560.8%減5,20073.4%減大型物件の売却を積極的に進めた前期に比して減収となりました。ただし、複数物件の売買契約締結や保有物件の入居率は堅調に推移し、計画通りに進捗。
国際事業908,8926.8%増23,00359.9%減2024年4月に買収したM.D.C. Holdings, Inc.(現 SEKISUI HOUSE U.S., Inc.)の業績貢献により売上高は増加。しかし、米国経済の先行き不透明感による顧客の様子見姿勢継続に伴うインセンティブ増加、のれんの償却、棚卸資産評価損の計上等により、営業利益は大幅に減少。
売上高、営業利益の単位は「百万円」。※セグメント間取引の消去等により、合計は全社売上高と一致しません
出典:積水ハウス株式会社 2026年1月期第3四半期決算短信

国内事業は全般的に堅調な推移を見せており、特に建築・土木事業やマンション事業が利益を押し上げています。

一方、米国戸建住宅事業は低迷しており、営業利益は前期比59.9%減少と今期の減益要因となっています。

ちくわくん

積水ハウスは2024年にM.D.C. Holdings(現SEKISUI HOUSE U.S.)を買収して米国事業を拡大しましたが、米国の住宅市場は金利上昇の影響を大きく受けています。国内事業が堅調なのは救いですが、国際事業の回復時期が通期達成のカギになりそうです。

直近3ヵ月(第3四半期)の状況

第3四半期単独(2025年8月〜10月)の業績は以下の通りです。

項目Q3実績前年同期前年比
経常利益633億円655億円△3.4%
営業利益554億円755億円△26.6%
売上営業利益率6.0%7.5%△1.5pt
出典:積水ハウス株式会社 2026年1月期第3四半期決算短信

直近3ヵ月の営業利益は前年同期比26.6%減と大幅な減益となり、市場予想を100億円強下回りました。売上営業利益率も7.5%から6.0%に悪化しています。

ちくわくん

Q3単独で営業利益率が6.0%というのは、住宅業界としては決して低くはありませんが、積水ハウスは通常8%前後を維持できる収益力を持っています。6%台への低下は、米国事業の不調が大きな要因と考えられます。
逆に言えば、米国市場が正常化すれば利益率は回復余地があると見ています。

配当・株主還元

配当予想は当初計画通り、増配が維持されています。

項目今期予想前期実績増減
中間配当72円65円+7円
期末配当72円70円+2円
年間配当144円135円+9円
出典:積水ハウス株式会社 2026年1月期第3四半期決算短信

積水ハウスは株主還元を重視しており、2026年1月期は前期比9円増の144円配当を予定しています。業績は減益傾向にあるものの、配当予想に変更はなく、増配方針が維持されています。

ちくわくん

減益決算でも増配を維持しているのは評価できますね。積水ハウスは過去10年以上にわたり増配を継続しており、株主還元への姿勢は一貫しています。ただし、今後業績回復が遅れた場合は配当維持がプレッシャーになる可能性も意識しておきたいところです。

通期見通し

通期業績予想に変更はありません。

項目通期計画前期実績前期比
売上高4兆3,310億円4兆606億円+6.7%
営業利益3,400億円3,313億円+2.6%
経常利益3,210億円3,016億円+6.4%
純利益2,320億円2,176億円+6.6%
出典:積水ハウス株式会社 2026年1月期第3四半期決算短信

会社は通期計画を据え置いていますが、Q3時点の進捗率(経常利益62.3%)を見ると、例年ペース(72.7%)を大きく下回っています。Q4での大幅な挽回が必要であり、通期計画達成には不透明感が残ります。

特に米国事業の回復が見込めない場合、下方修正リスクも視野に入れておく必要があります。

ちくわくん

住宅業界は一般的に四半期ごとの業績ブレが大きい業種です。積水ハウスの場合、1月期決算なので年末年始を挟むQ4(11月〜1月)に引き渡しが集中しやすく、実際に過去の決算でもQ4で大きく積み上げるパターンが見られます。ただ、今期は10ポイントもの遅れを挽回する必要があり、「いつものQ4巻き返し」だけで達成できるかは正直微妙なラインです。

財務状況

第3四半期末時点での財務状況は以下の通りです。

項目今期末前期末増減
総資産4兆7,967億円4兆8,121億円△0.3%
負債2兆8,279億円2兆7,917億円+1.3%
純資産1兆9,687億円2兆204億円△2.5%
自己資本比率40.1%41.0%△0.9pt
現金預金2,783億円3,907億円△28.7%
自己資本 2026年1月期第3四半期 1兆9,224億円、2025年1月期 1兆9,621億円
出典:積水ハウス株式会社 2026年1月期第3四半期決算短信

現金預金は仕入債務や法人税等の支払いにより28.7%減少しましたが、社債発行による資金調達も行われています。自己資本比率40.1%は、大手住宅メーカーとしては標準的な水準を維持しています。

ちくわくん

自己資本比率40%は、大手ハウスメーカー(大和ハウス約37%、住友林業約40%)と比較しても遜色ない水準です。ただし、現金が約1,100億円減少している点は注視が必要です。

保有継続判断

今回の決算内容を踏まえ、継続保有の観点から評価します。

積水ハウスの良い点
  • 売上高は過去最高を更新し、国内事業は堅調
  • 配当は増配予定(年間144円)を維持
  • 賃貸住宅管理・都市再開発など安定収益事業が成長
  • 自己資本比率40%台で財務基盤は安定
積水ハウスの気になる点
  • 経常利益の進捗率62.3%は過去5年平均(72.7%)を大きく下回る
  • 米国戸建住宅事業の低迷が続き、回復時期が不透明
  • 直近3ヵ月の営業利益は前年比26.6%減と大幅悪化
  • 通期計画達成にはQ4での大幅挽回が必要
ちくわくん

個人的には「継続保有(注視)」とします。

業績面では減益傾向が続いており、特に米国事業の苦戦が目立ちます。一方で、配当は増配維持、国内事業は堅調と、高配当投資家にとっての魅力は失われていません。

現時点で売却を急ぐ必要はありませんが、次回決算(通期決算)で米国事業の動向と来期見通しを確認することが重要だと考えられます。

今後の注視点

次回決算(2026年1月期 通期決算)で確認すべきポイントは以下の通りです。

注意すべきポイント
  1. 通期計画の達成可否
    • Q4での業績積み上げがどこまで進んだか
    • 下方修正の有無
  2. 米国事業の動向
    • 米国住宅市場の回復兆候
    • 受注・販売動向の改善有無
  3. 来期(2027年1月期)の業績見通し
    • 増収増益に回帰できるか
    • 国際事業の位置づけと戦略
  4. 配当方針
    • 来期も増配継続できるか
    • 業績連動型か安定配当型か
ちくわくん

個人的に最も注目しているのは来期の業績見通しです。今期の減益が一時的なものか、構造的な問題かで投資判断が変わってきます。M.D.C.買収の成果が出てくるのはもう少し先かもしれませんね。

まとめ:積水ハウス(1928)は増配維持も進捗遅れに注意

今回の決算のポイントを整理します。

項目評価
業績進捗△ 遅れ(経常利益進捗率62.3%)
売上高◎ 過去最高更新
配当◎ 増配維持(年間144円)
通期見通し△ 据え置きも達成に不透明感
リスク△ 米国事業、通期達成
総合判断継続保有(注視)

売上高は過去最高を更新し、増配(年間144円)も維持されている点は評価できます。しかし、経常利益の進捗率が例年を10ポイント下回っており、通期計画達成には不透明感が残ります。

米国事業の低迷が主因であり、国内事業が堅調なのは救いです。現時点で売却を検討する必要はありませんが、次回の通期決算で来期見通しと米国事業の回復状況を確認することが重要です。引き続き注視しながら保有を継続していきます。

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