新NISAが昨年から始まり投資ブームになりつつある中、高配当株投資への第一歩として、「日本の高配当ETF」の購入を検討されている方も多いのではないでしょうか?
ETFへの投資をする際は、「信託報酬」という”隠れたコスト”がかかりますが、これができるだけ低い商品を選ぶことが大切です。
日本の高配当ETFの中で、一番信託報酬が安いのはどの商品か、気になりませんか?
そこで、以下について詳しく解説します。
- 日本高配当ETFの信託報酬ランキング
- 日本高配当ETFを選ぶ際の5つのポイント
- 日本高配当ETFへの投資リスクと注意点
この記事を読めば、日本の高配当ETFの信託報酬について深く理解し、より賢く、そして着実に資産形成に取り組めるようになります。ぜひ、最後までご覧ください!
日本の高配当ETFの「信託報酬」ランキング【全14商品】

日本の高配当ETFは、年率0.2%前後の「超低コスト」なものから、0.5%超のやや割高なものまで幅広く存在します。
以下、代表的な日本の高配当ETFとそれらの信託報酬です(いずれも税込・年率で低いものから順に掲載)。
証券番号 | ETF名称 | 信託報酬(税込) |
---|---|---|
1478 | iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF | 0.209% |
1651 | iFreeETF TOPIX高配当40指数 | 0.209% |
235A | グローバルX 高配当30-日本株式 ETF | 0.3025% |
315A | グローバルX 銀行 高配当-日本株式 ETF | 0.3025% |
2849 | グローバルX Morningstar 高配当 ESG-日本株式 ETF | 0.3025% |
1698 | 上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100) | 0.308% |
1489 | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 | 0.308% |
1494 | One ETF 高配当日本株 | 0.308% |
1577 | NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 | 0.352% |
1399 | 上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ | 0.385% |
2085 | MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信 アクティブ運用型 | 0.4125% |
170A | SMT ETF日本好配当株アクティブ アクティブ運用型 | 0.495% |
2084 | NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信 アクティブ運用型 | 0.5225% |
2011 | SMDAM Active ETF 日本高配当株式 アクティブ運用型 | 0.583% |
このように、同じ日本高配当ETFでも最安水準は0.2%程度、最高水準は0.5%超と差が大きいです。

ただ、大半の高配当ETFは税込で0.2~0.3%台です。
日本高配当ETFの信託報酬の傾向
全体の傾向として、この10年ほどで新規参入したETFほど低コストの傾向が見られます。
例えば、2013年前後に登場した「NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信」では、税込0.352%となっています。
その一方で、2017年に設定された「iFreeETF TOPIX高配当40指数」は、税込0.209%です。
これは、運用各社のコスト競争により信託報酬の引き下げが行われてきた結果であり、現在では0.2%台前半という世界水準に匹敵する低コストETFも存在しています。

投資家にとっては、コストが下がるのは非常に良いことですね!
日本の高配当ETFの信託報酬とは?

高配当ETFとは、高い配当利回りが期待できる銘柄を集めた上場投資信託(ETF)のことです。
ETFを購入し、保有する際にかかる運用管理費用が「信託報酬」と呼ばれます。
ETFを保有している間、純資産から毎日差し引かれる仕組みになっており、運用成績がマイナスでも支払う必要があります。
特に長期で持ち続ける場合、信託報酬の高低はリターンに大きく影響するため、投資する前に必ず確認しましょう。
信託報酬は低い方が良い?
一般的には、信託報酬は低い方が投資家に有利と言われています。
なぜなら、コストが低ければ低いほど最終的に手元に残るリターンが増えるからです。
ただし「信託報酬が安い=優秀なETF」というわけでもありません。
それは、運用方針や組み入れ銘柄、分配金の方針などによってリターンが変わるためです。
投資対象やリスク許容度を踏まえながら「なるべく低コストで、かつ自分の目的に合ったETF」を選ぶのがポイントです。
信託報酬がリターンに与える影響
より具体的に、信託報酬が投資のリターンに与える影響について、具体的な数値を用いて見てみましょう。
以下は、信託報酬が0%、0.1%と1%のETFに1000万円を投資した場合の資産評価額の推移です。
投資期間 | 0%の場合 | 0.1%の場合 | 1%の場合 |
---|---|---|---|
1年 | 1050万円 | 1049万円 | 1040万円 |
5年 | 1276万円 | 1271万円 | 1217万円 |
10年 | 1629万円 | 1614万円 | 1480万円 |
信託報酬が0.1%の場合、1,000万円の元本に対して、毎年1万円の手数料がかかります。
その影響で10年間投資を続けた場合は、手数料なしだと1,629万円になるところが1,614万円になっています。

つまり、10年間で15万円を支払ったことになります。
一方で、1%の信託報酬の場合は、1年目は年間10万円の手数料を支払い、10年続けると信託報酬なしに比べて150万円ほど目減りしています。
0.1%と比べても134万円も目減りしており、投資をする上で、どちらが有利かは一目瞭然ですよね。
これが信託報酬が投資のリターンに与えるインパクトです。
信託報酬だけじゃない!日本の高配当ETFを選ぶ5つのポイント

日本の高配当ETFに投資をする際に、信託報酬以外に見ておくべきポイントは以下の5つです。
- 分配金利回り
- 純資産総額
- 構成銘柄
- 流動性
- 最低取引額
それぞれ解説していきます。
1. 分配金利回り
分配金利回りは、1年間にもらえる分配金の投資額に対する割合のこと。
高配当ETFを選ぶ最大の理由は、安定した配当収入を得ることかと思います。
したがって、まずは分配金(配当金)利回りをチェックしましょう。
ただし、利回りが極端に高いETFは一時的に特殊な配当が含まれている可能性があります。

過去の分配金推移や、組み入れ銘柄の業績を総合的に判断することが大切です。
2. 純資産総額
ETFの規模を示す純資産総額が大きいファンドほど運用が安定しやすく、繰上げ償還されるリスクも相対的に低い傾向があります。
また、出来高も多くなりやすいため売買時のコストを抑えやすい点も魅力です。
長期保有を前提にするなら、純資産が数百〜千億円以上あるETFを選ぶと安心感が高いでしょう。
3. 構成銘柄
「高配当株」と一口に言っても、金融業や商社、不動産(REIT含む)など、どのセクターに重点を置くかはETFによって異なります。
セクターが偏っているETFは、市況変動の影響を受けやすいため、できるだけ分散が効いた商品を選ぶのがおすすめです。
例えば、「NF・日本株高配当70」は、日本の高配当株70銘柄に投資し、業種の分散も効いています。

また、組み入れ銘柄数が多いETFは、1社の減配リスクがETF全体に与える影響を抑えられます。

どんな銘柄で構成されていて、業種なども十分に分散されているかを確認しておきましょう!
4. 流動性
流動性は、ETFの売買のしやすさのことで、出来高(1日の売買量)が多いETFほど、流動性が高いと言えます。
ETFは市場で売買するため、売買が活発でないと、売りたいときに適正な価格で売れない場合があります。
特に高配当ETFは投資家人気が高いものと、そこまで知名度がないものの差が激しいです。
純資産総額が大きいETFや出来高が多いETFは流動性が高いケースが多いので、長期投資でも将来的な売却を考えれば注目すべきポイントです。
5. 最低取引金額
ETFは基本的に1口単位での売買となるため、1口あたりの価格が高いETFだと少額からは買いにくい可能性があります。
数千円で買えるものから数万円以上するものまでさまざまなので、資金や投資計画に合った価格帯のETFを選びましょう。
小口投資を好む人は、1口価格が低めのETFを選ぶとよいでしょう。

一般的には1口数千〜数万円で買えるものが多いです!
日本の高配当ETF投資のリスクと注意点

高配当ETFは魅力が多い一方で、以下のようなリスクや注意点も把握しておく必要があります。
注意点①:価格変動のリスク
日本の高配当ETFは、高配当銘柄を中心に構成されてはいるものの、株式側の下落の影響を受ける点には注意が必要です。
ETFは、通常の企業の株式と同様に、市場で売買できます。
したがって、需給や株式市場全体の影響を受けて、価格が変動します。
注意点②:分配金減少のリスク
分配金(ETFからの配当)が減少するリスクもあります。
ETFの組み入れ企業の業績悪化や配当方針変更があれば、ETFの分配金も減少する可能性があります。
分配金目的で投資する際は、分配金の減少はかなりの痛手になります。

減少しない銘柄をできるだけ選ぶようにしたいところです。
注意点③:信託報酬以外のコスト
ETFには、信託報酬以外のコストもかかる場合があります。
代表的なものとして、監査費用や上場維持費用等が挙げられます。
例えば、「NF・野村日本株高配当70」は商標利用料として純資産総額の0.011%、上場にかかる費用として純資産総額に対して、最大0.00825%などがかかってきます。
そのほか、証券会社によってETFの売買時に取引手数料などがかかる場合もあります。
注意点④:税金面
分配金の受取時やETFの売却時にかかる税金も注意が必要です。
通常の課税口座では、分配金や売買益に20.315%の税金がかかります。

ただし、新NISAを活用すれば、非課税で配当や譲渡益を受け取ることが可能です!
まとめ:日本の高配当ETF投資の際は信託報酬に気をつけよう!
日本の高配当ETFは、低い信託報酬と安定した配当利回りが期待できる魅力的な投資対象です。
個別株より分散が効き、長期投資に適している点も大きなメリットでしょう。
特に、NISA口座を使えば配当金や譲渡益を非課税にできるため、より効率的な資産形成が可能です。
ただし、セクター偏重や相場の変動、減配などのリスクがある点は見逃せません。この記事で紹介した5つのポイント(分配金利回り・純資産総額・構成銘柄・流動性・最低取引金額)と合わせて信託報酬もチェックし、あなたに合ったETFを選びましょう。
上手に高配当ETFを活用すれば、“配当金”という形でインカムゲインを積み上げながらの資産づくりが期待できます。ぜひ本記事を参考に、無理のない範囲で一歩を踏み出してみてください!
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