2026年4月末〜5月頭に保有2銘柄の決算が発表されました。シンポ(5903)はMBOによるTOBを発表し上場廃止へ、SBIホールディングス(8473)は全項目で過去最高益を更新と、まさに明暗が分かれた1週間です。
それぞれの決算内容をチェックしていきます。
特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
- シンポ(5903)は3Q決算発表と同時にMBO・TOBを発表。配当は無配に修正、上場廃止の見込み
- SBIホールディングス(8473)は収益・利益ともに過去最高。年間配当は前期比10円増の95円
- ポートフォリオ上、シンポの退出に伴う年間配当の減少と、SBIの増配をどう評価するか
今週の決算サマリー
まずは2銘柄の決算をざっくり比較します。
| 項目 | シンポ(5903) | SBI HD(8473) |
|---|---|---|
| 決算期 | 2026年6月期 3Q | 2026年3月期 通期 |
| 発表日 | 2026年4月28日 | 2026年5月1日 |
| 売上高/収益 | 51.6億円(前年同期比△8.0%) | 1兆8,966億円(前期比+31.4%) |
| 営業利益/税引前利益 | 5.6億円(△29.1%) | 5,167億円(+83.0%) |
| 純利益 | 3.8億円(△20.6%) | 4,276億円(+163.7%) |
| 配当(年間) | 0円(前期42円→無配) | 95円(前期比+10円) |
| 特記事項 | MBO・TOB発表 | 全項目で過去最高益 |
| 保有状況 | 20株 @1,182円 | 60株 @約1,608円 |
ちくわくんまさに明暗くっきりですね。シンポのTOBは驚きましたが、SBIの好決算は安心材料です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
シンポ(5903)の決算まとめ

シンポは無煙ロースターの大手メーカーで、焼肉店向けに引き下げ式無煙ロースター「ダクトレス」シリーズなどを展開しています。2026年4月28日に3Q決算を発表すると同時に、MBOによるTOBを発表しました。
買付価格は1,700円で、上場廃止を前提としています。配当予想も年間0円に修正されました。今回が上場企業としての最後の決算になる可能性が高いため、業績と財務をしっかり振り返ります。
TOBの詳細は別記事でまとめています。
決算ハイライト
2026年6月期 第3四半期(累計:2025年7月〜2026年3月)の連結業績は以下のとおりです。
| 項目 | 2026年6月期 3Q | 2025年6月期 3Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,166百万円 | 5,617百万円 | △8.0% |
| 営業利益 | 556百万円 | 785百万円 | △29.1% |
| 経常利益 | 563百万円 | 794百万円 | △29.1% |
| 純利益 | 381百万円 | 480百万円 | △20.6% |
| EPS | 69.32円 | 86.12円 | — |
売上高・利益ともに前年同期を下回る減収減益の決算です。ただし通期予想に対する進捗率を見ると、純利益は84.7%(450百万円に対して381百万円)と、3Q時点(75%経過)としてはしっかり進捗しています。
業績推移と事業環境
決算短信の定性情報から、国内は追い風・海外は逆風という事業環境が読み取れます。
国内事業
- 焼肉業界はインバウンド需要が旺盛で追い風がある一方、円安・物価高で仕入コストが上昇
- 主力製品の引き下げ式無煙ロースターに加え、グリーンIT情報やメンタルレンタルサービスなど「ワンストップサービス」を展開
- 名古屋のアミー洗浄工場の稼働能力を大幅に拡充し、東日本エリアでも積極的に営業展開
- 一方で、新規出店や改装需要が伸び悩み、製品売上・店舗関連売上は前年同期比で減少
海外事業
- 台湾・インドネシア(ジャカルタ)でローカルチェーンとの包括契約を獲得
- しかし、北京の製品認証に関する仕様変更の影響で出荷が大きく遅延
- 海外売上高は前年同期を大きく下回る結果に
ちくわくん国内のインバウンド需要は追い風ですが、海外の認証問題が足を引っ張った印象ですね。焼肉業界自体は堅調なので、事業の底力はまだ健在だと感じます。
通期業績予想(修正後)
なお、同日(4月28日)に通期業績予想の修正も発表されています。
| 項目 | 修正後予想 | 前期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,734百万円 | 7,365百万円 | △8.6% |
| 営業利益 | 650百万円 | 976百万円 | △33.4% |
| 経常利益 | 659百万円 | 988百万円 | △33.3% |
| 純利益 | 450百万円 | 585百万円 | △23.1% |
| EPS | 81.96円 | — | — |
通期でも減収減益の見通しです。ただし、MBOが成立すれば通期着地の数字は株主にとってはあまり意味を持たなくなります。
財務状況
上場企業として最後になるかもしれない財務データを確認しておきます。
| 項目 | 2026年3月末(3Q末) | 2025年6月末(前期末) |
|---|---|---|
| 総資産 | 8,842百万円 | 8,699百万円 |
| 純資産 | 7,133百万円 | 6,921百万円 |
| 自己資本比率 | 80.7% | 79.6% |
自己資本比率80.7%という非常に堅牢な財務体質です。有利子負債も限定的で、現金及び預金は約20億円を保有しています。
1株当たり純資産(BPS)を概算すると約1,297円(純資産7,133百万円÷実質発行済株式数5,500,652株)です。TOB価格1,700円はPBR約1.31倍に相当し、資産価値に対して一定のプレミアムが付いた価格設定と言えます。
ちくわくん自己資本比率80%超の無借金経営に近い体質がMBOの背景にあるのかもしれません。キャッシュリッチな企業は非公開化しやすいですからね。
配当・MBOの影響
| 項目 | 2025年6月期 | 2026年6月期(修正後) |
|---|---|---|
| 年間配当 | 42.00円 | 0.00円(無配) |
| 配当利回り(取得単価) | 3.55% | 0% |
MBOの実施に伴い、2026年6月期の配当予想は0円(無配)に修正されました。高配当株として保有していた身としては寂しい限りですが、TOB価格1,700円で応募すれば取得単価1,182円に対して約43.8%の売却益が得られます。
- 投資額:20株 × 1,182円 = 23,640円
- TOB応募時:20株 × 1,700円 = 34,000円
- 売却益:+10,360円(+43.8%)
ちくわくん配当はなくなりますが、TOBで約1万円の売却益が得られるのはありがたいです。個人的にはTOBに応募して手仕舞いする方針です。詳しくはTOB速報記事にまとめています。
SBIホールディングス(8473)の決算まとめ

SBIホールディングスはSBI証券やSBI新生銀行、住信SBIネット銀行など、国内外で金融サービスを中核に展開する総合金融グループです。2026年5月1日に2026年3月期の通期決算を発表しました。
決算ハイライト
2026年3月期(IFRS)の連結業績は全項目で過去最高を更新する大幅増収増益となりました。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 収益(売上高) | 1兆8,966億円 | 1兆4,437億円 | +31.4% |
| 税引前利益 | 5,167億円 | 2,823億円 | +83.0% |
| 当期利益 | 4,305億円 | 1,892億円 | +127.6% |
| 親会社帰属利益 | 4,276億円 | 1,621億円 | +163.7% |
| ROE | 28.0% | 12.8% | +15.2pt |
中期ビジョンの目標値(税引前利益5,000億円、ROE 15%)を初年度で大幅にクリアしています。主な要因は、住信SBIネット銀行株式の譲渡に伴う売却益や受取利息の増加です。
なお、株式市場等の変動要因の影響が大きいため、通期業績予想の開示は行っていません。
ちくわくん収益+31%、利益+83%、親会社帰属利益は+163%と、数字のインパクトが凄まじいですね。ROE 28%は野村HD(10.1%)や大和証券(10.3%)を大きく上回り、国内証券グループでは圧倒的です。
セグメント別の業績
SBIグループの5つのセグメントを見ていきます。
| セグメント | 収益(億円) | 前期比 | 税引前利益(億円) | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 金融サービス | 15,825 | +34.8% | 4,250 | +115.4% |
| 資産運用 | 416 | +23.1% | 86 | +58.5% |
| PE投資 | 1,583 | +12.4% | 820 | △13.9% |
| 暗号資産 | 896 | +10.9% | 212 | △0.1% |
| 次世代 | 562 | +83.2% | 220 | 黒字転換 |
金融サービス事業(税引前利益 +115.4%)
グループの稼ぎ頭である金融サービス事業は、収益・利益ともに過去最高を更新しました。
内訳を見ると、銀行事業(2,690億円、+134.5%)と保険事業(796億円、+1,235.5%)の急伸が目立ちます。これは主に住信SBIネット銀行株式の譲渡に伴う売却益など一時的な特殊要因によるものです。
証券事業も832億円(+14.8%)と堅調で、好調な株式市場を背景に着実に伸びています。
資産運用事業(税引前利益 +58.5%)
国内株式市場の好調を背景に運用資産残高が増加し、収益・利益ともに過去最高を更新しました。
同じSBIグループのSBIグローバルアセットマネジメント(4765)も好調な決算でした。
PE投資事業(税引前利益 △13.9%)
収益は+12.4%と伸びたものの、税引前利益は△13.9%と唯一の減益セグメントです。
投資先の評価変動(FVTPLで測定される金融資産の変動)が主因です。
暗号資産事業(税引前利益 △0.1%)
暗号資産価格の変動に連動する形で、収益は+10.9%でしたが利益はほぼ横ばいでした。
次世代事業(黒字転換)
5-ALA関連の医薬品・健康食品やWeb3関連事業を手がける次世代事業が、前期の99億円の赤字から220億円の黒字へと大幅に改善しました。収益も+83.2%と伸び、過去最高を更新しています。
ちくわくん住信SBIネット銀行の売却益という一時要因が大きいですが、それを除いても証券・資産運用・次世代が着実に伸びている点は好印象です。次世代事業の黒字化は特に注目したいポイントですね。
配当・株主還元
SBI HDは2025年12月1日付で1株につき2株の株式分割を実施しています。以下は分割考慮後の数字です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 中間配当 | 15円 | 20円 |
| 期末配当 | 70円 | 75円 |
| 年間配当 | 85円 | 95円(+10円) |
| 自己株式取得 | — | 約500億円 |
| 総還元性向 | 31.7% | 26.1% |
年間配当は前期比10円増配の95円です。株式分割を考慮したベースでは、ここ数年は非減配を維持しつつ着実に増配しています。
さらに、総額約500億円の自己株式取得(約1,469万株、2025年12月〜2026年2月)も実施し、総還元額は約1,117億円に達しています。
株主還元の基本方針として「配当金総額に自己株式取得額を加えた総還元額を、金融サービス事業の特殊要因を除いた税引前利益の30%程度とする」としています。今期の総還元額1,117億円は、金融サービス事業の税引前利益4,250億円に対して約26%の水準です。
| 保有状況 | 数量 |
|---|---|
| 保有株数 | 60株 |
| 平均取得単価 | 約1,608円 |
| 年間配当金 | 5,700円(95円×60株) |
| 取得単価ベース利回り | 5.91% |
ちくわくん取得単価ベースで約5.9%の配当利回りはかなり魅力的です。利益成長に伴って増配が続いているのは心強いですね。
株主優待
SBI HDは暗号資産XRPと自社グループ商品セットの株主優待を実施しています。
| 対象 | 優待内容 |
|---|---|
| 100株以上(1年超継続かつ1,000株以上) | XRP 8,000円相当 + 商品セット(約25,194円相当) |
| 100株以上(上記以外) | XRP 2,000円相当 + 商品セット(約12,528円相当) |
| 単元未満株(1〜99株) | SBIアラプロモ商品の50%割引購入券 |
筆者の保有は60株のため、残念ながら本格的な優待の対象外です。100株まで買い増せばXRP+商品セットがもらえるので、今後の検討課題ですね。
ちくわくんXRPの取得平均単価に対する時価は約4倍になっているとのことで、暗号資産好きな方には面白い優待ですね。個人的には100株まで買い増すか悩みどころです。
保有銘柄全体への影響と今後の方針
今回の決算で、ポートフォリオには「シンポ退出」と「SBI増配」の2つの影響があります。
シンポの退出
- TOB応募により保有を解消する方針(詳細はTOB速報記事参照)
- 年間配当42円 × 20株 = 840円が消滅(2026年6月期は無配のため今期は影響なし)
- 売却益:約10,360円(取得単価1,182円→TOB価格1,700円)
SBI HDの増配効果
- 年間配当85円→95円に+10円増配
- 60株保有で年間配当 +600円(5,100円→5,700円)
差し引きの影響
- 配当面:シンポの△840円 vs SBIの+600円 → 差し引き△240円/年
- ただしシンポのTOB売却益+10,360円があるため、トータルではプラス
シンポのTOB売却資金(約34,000円)をどの銘柄に再投資するかが次の検討課題です。SBI HDの40株買い増し(100株にして優待を取得)か、別の高配当株への分散か、選択肢を整理していきたいと思います。
ちくわくんポートフォリオ全体で見ると、シンポの退出は寂しいですが売却益でプラスになるのは救いです。最新の保有状況は2026年3月の運用成績記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
今週はシンポのTOBという大きなイベントと、SBI HDの過去最高益という好決算が重なりました。
| 銘柄 | 決算評価 | 配当 | 今後の方針 |
|---|---|---|---|
| シンポ(5903) | △ 減収減益 | 無配(TOBのため) | TOB応募で手仕舞い |
| SBI HD(8473) | ◎ 全項目過去最高 | 95円(+10円増配) | 保有継続(買い増し検討) |
高配当株投資はこうした「嬉しい誤算」と「予想外のイベント」がつきものです。シンポとは約40%の売却益で良いお別れができそうですし、SBIの成長は今後も楽しみです。
引き続き、保有銘柄の決算は丁寧にチェックしていきます。


