
DEレシオって言葉は聞いたことあるけど、実際どういう意味?
そんな疑問にお答えします。
投資先を決める企業を分析する際、「DEレシオ」は、企業の借金体質を明らかにし、倒産リスクを見抜くための強力な武器となります。
本記事では、DEレシオの基礎知識から、業種別の目安、株式投資での具体的な活用方法まで、わかりやすく解説します。著名投資家ウォーレン・バフェット氏が重視するこの指標の目安についてもお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
- DEレシオは、企業の財務健全性を図る指標の1つ
- 有利子負債 ÷ 自己資本で求め、1以下が望ましい
- 業種によって0.35〜4.23とかなりの幅がある
- バフェットはこの指標が一定以下であれば超優良企業である可能性を唱えている
DEレシオとは?

DEレシオとは、「Debt Equity Ratio(デット・イクイティ・レシオ)」のことで、企業の財務健全性を測るための指標の一つです。
日本語では「負債資本倍率」と呼ばれます。

負債比率と呼ばれることもあります!
この指標は、企業の自己資本(純資産)に対して、有利子負債(借金)がどれくらいあるかを示しています。
DEレシオの算出方法
DEレシオは、以下の式で求められます。
DEレシオ = 有利子負債 ÷ 自己資本
有利子負債とは、利子をつけて返済しなければならない負債のことを指します。

具体的には、銀行からの借入金や社債などがあります。
自己資本は、株主からの出資金や、企業が事業活動で得た利益の蓄積など、返済義務のないお金です。
純資産と呼ばれることもあります。
基本的には、DEレシオの数値が低いほど、企業の自己資本に対する負債の割合が少なく、財務健全性が高いと判断されます。
有利子負債比率との違い
DEレシオと似た指標として、有利子負債比率があります。
これはDEレシオと同じように有利子負債を自己資本で割って求めますが、100を乗算してパーセントで示します。
有利子負債比率 = 有利子負債 ÷ 自己資本 × 100

つまり、表し方の違いであって、本質的には同じです。
DEレシオの目安と業種別平均

DEレシオの目安は、一般的には1倍以下が望ましいとされています。
ただし、業種によって平均的なDEレシオは大きく異なるため、注意が必要です。
たとえば、設備投資が多額に必要な業種(不動産や宿泊業など)は、借入金が多くなりがちで、DEレシオが高くなる傾向があります。
一方、IT企業など、設備投資が少ない業種は、DEレシオが低くなる傾向があります。
中小企業における業種別DEレシオ
では、実際の業種ごとにどれくらい DEレシオの値が異なるのか見てみましょう。
令和5年の中小企業実態調査による、各業種ごとのDEレシオの平均は以下の通りです。
業種 | DEレシオ |
---|---|
全体合計 | 0.85 |
建設業 | 0.57 |
製造業 | 0.67 |
情報通信業 | 0.35 |
運輸業、郵便業 | 1.32 |
卸売業 | 0.63 |
小売業 | 1.17 |
不動産業、物品賃貸業 | 1.27 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 0.59 |
宿泊業、飲食サービス業 | 4.23 |
生活関連サービス、娯楽業 | 1.08 |
サービス業(他に分類されないもの) | 0.7 |

宿泊業、飲食サービス業は4を超えており、1以上の業種もちらほらありますね。
このように業種によって様々です。
DEレシオが1倍以下というのはあくまで目安であり、重要なのは、同業他社と比較することです。
数値が1倍以下だからOKというわけではなく、必ず同業他社と比べることが大切です。
DEレシオから読み取れる企業の状況

DEレシオを分析することで、企業の財務状況について、以下の点がわかります。
- 財務安全性
- DEレシオが低いほど、借金への依存度が低く、財務的に安定していると判断できます。
- 逆に、DEレシオが高いほど、借金への依存度が高く、金利上昇や業績悪化の影響を受けやすいと判断できます。
- 事業の成長性
- DEレシオが高い企業は、積極的に借入をして事業を拡大している可能性があります。
- ただし、過度な借入はリスクも伴うため、注意が必要です。
- 株主への影響
- DEレシオが高いと、利益の多くが借金の返済に回され、株主への配当が少なくなる可能性があります。
- また、経営破綻のリスクも高まるため、株価が下落する可能性もあります。

DEレシオを見るだけで、企業の財務状況や将来性、株主への影響までわかるのです!
DEレシオが高い企業のリスクと注意点
DEレシオが高い企業は、必ずしも悪いわけではありません。
というのも、成長投資を行いガンガンと利益を伸ばしていこうとしている可能性もあるためです。
したがって、先ほど述べた同業他社との比較や、収益性がしっかりとあり返済ができるかなど総合的に見ていく必要があります。
しかし、一般的に、DEレシオが1に近い場合や1以上など高い場合は、以下の点は特に気をつけて見ておいたほうが良いでしょう。
- 金利上昇の影響
金利が上昇すると、借金の利払い負担が増加し、利益を圧迫する可能性があります。 - 業績悪化の影響
業績が悪化すると、借金の返済が困難になり、経営破綻のリスクが高まります。 - 資金調達の制約
DEレシオが高いと、新たな借入が難しくなり、事業拡大の機会を逃す可能性があります。
特に昨今は、日本でも金利の上昇がされてきており、借入金の多い企業が今後も同様に事業を続けていけるのか、株主還元を維持できるのかなどは、注視しておいたほうが良いでしょう。

DEレシオが高い企業は、成長のチャンスと裏腹にリスクも大きいので、この辺りの見極めが重要になります。
DEレシオが低い企業は安全?
一方、DEレシオが低い企業は、一般的に財務健全性が高いと評価されます。
有利子負債がゼロやそれに近い場合は、財務面ではかなり優秀と言えるでしょう。
しかし、以下の点には注意して見ておく必要があります。
- 成長機会の損失
過度に慎重な経営で、借入を避けることで、大きな成長機会を逃している可能性があります。 - 資本効率の悪化
自己資本を有効活用できていない可能性があります。
ただ、これらはあくまでそういった状況に陥っていないかなどを見る程度で良いかと思います。
つまり、成長や収益性の改善等の結果として自己資本が増えてDEレシオが低くなっているような、前向きな低DEレシオは全く問題ありません。
一方で、うまく成長投資などできず資金を余らせてしまっているだけ(売上高も利益成長もしていない)のような、後ろ向きな低DEレシオは注意した方が良いです。

財務健全性の面ではDEレシオが低いことに越したことはなく、その上で利益や売上高が伸びているのかを確認しておけば問題ないかと思います。
DEレシオを株式投資に活用する方法

DEレシオは、株式投資の銘柄選びに役立てられます。
ほとんどの人は倒産リスクが高いような企業には投資したくないかと思います。
DEレシオを見ることで、そういった危険度の高い企業への投資を避けられるようになります。
具体的な活用方法は以下の通りです。
- 財務健全性の確認
- DEレシオが1倍を超えていないかを見て、企業の財務健全性を確認しましょう。
- また同業他社と比べてどの程度の水準なのかも確認しましょう。
- 特に、長期投資の場合は、財務基盤が安定している企業を選ぶことが重要です。
- 成長性の確認
- DEレシオが高い企業は、積極的に事業を拡大している可能性があります。
- ただし、その分リスクも高まるため、他の指標と合わせて総合的に判断しましょう。
- 還元余力の判断
- DEレシオが低い企業は、株主へ還元できる余裕があることを示します。
- 高配当株投資の際などはそういった還元余力があるかもしっかり確認しましょう。
バフェットが重視するDEレシオ活用術
このDEレシオは、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏も銘柄選びの際に重視している指標の1つです。
バフェットが財務諸表で見るポイントを解説している書籍では、以下のように書かれています。
ルールは簡単だ。金融機関を除き、自己株式調整済み負債比率が0.80以下(低ければ低いほど良い)の企業は、私たちが探し求める永続的競争優位性を持っている可能性がある。
「自己株式調整済み負債比率」とは、その企業が取得している自己株式の価値も加えた純資産で算出する負債比率(DEレシオ)です。
つまり、自己株式の調整を行った後のDEレシオが0.8以下であれば、永久に保有したくなるような銘柄である可能性を秘めているということです。

あくまで可能性があるだけで、必ずそうであるとは限りません。
ただ1つ注意点としては、厳密にはバフェットの負債比率は「有利子負債÷純資産」ではなく、「負債合計÷純資産」で算出しています。

バフェット氏は、買掛金など利息のない負債なども含めてより厳格に負債比率を算出しているみたいです。
この負債比率が0.80以下であれば、永続的競争優位性を持つ企業、つまり死ぬまで保有し続けたい超優良企業の可能性があるというのです。
ぜひ、このバフェット流の負債比率も銘柄選びの際に活用してみてください。
例)トヨタ自動車の純資産と自己株式

一番右の3,972,147を純資産合計の20,440,081に足し合わせたものが「自己株式調整済み」の純資産総額となります。
まとめ:DEレシオを理解して、企業の財務健全性を確認しよう!
この記事では、DEレシオについて、基本から株式投資への活用方法まで解説しました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- DEレシオは、企業の財務健全性を測る指標
- 計算式は「有利子負債 ÷ 自己資本」
- 業種によって目安が異なるため、同業他社との比較が重要
- DEレシオが高い企業は、成長性がある反面、リスクも高い
- DEレシオが低い企業は、安定性がある反面、成長性に欠ける場合も
- 株式投資では、DEレシオを他の指標と合わせて総合的に判断することが重要
DEレシオを理解することで、企業の財務状況をより深く理解でき、倒産や事業継続が難しいなどのリスクの高い企業への投資を避けられるようになります。
伝説の投資家であるバフェット氏もこのDEレシオをかなり重視して見ているようですので、その重要性はお墨付きということで間違いないでしょう。
ぜひ、この記事を参考に、DEレシオをマスターして、株式投資で資産形成に繋げていきましょう!
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